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Summary

弊ゼミでは、民法のあるテーマについて、「法理論(Legal theory)」、「教養・周辺学問(Liberal arts)」、および、「現実運用(Practical civil law)」の視点から、3つのセクションに分かれて検討を行います。
例えば、「電子マネーと法」というテーマであれば、法理論の視点から“相殺理論”、教養の視点から“決済方法の仕組み(技術/経済学)と各種規制”、現実運用(先進法学)の視点から“マルチラテラルネッティング(SuicaやPasmoの仕組みなど)の現状”、といったことを検討し、ゼミ員全員でここから得られる知見を共有します。また、テーマに沿った第一線の専門家の方をお招きし、講演等をして頂きます。
夏および春の合宿では、春学期および秋学期の通常のゼミ活動において扱ったテーマより得られた知見を融合させ、既知の未解決問題や、今後生じうる“未知の問題”、さらには、これらを前提とした社会のあり方を、民法(民事法)の視点から解釈学的および立法論的に検討する、「先進民事法学演習」も行います。
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Purpose
以上のメソッドを通じて、抽象度の高い民法の世界につき、1つのテーマを理論から現実まで総合的に考察することで、リアリティのある、いかなる進路を目指すにしても役に立つ民法の能力を身に着けます。
この総合的な考察を前提として、3つの視点のうち、特に、「法理論」と「現実運用」とに力点を置いた学修をすれば「司法試験」、「現実運用」と「教養」とに力点を置けば「民間就職」、「法理論」と「教養」とに力点を置けば「公務員」といった具合に進路に結びつけることも可能です。
また、法を学ぶ者にとって必須の、報告や論述のフォーマットを確実に修得し、その実践として質の高いゼミ論の完成を目指します。
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Theme
これまで扱ってきた総合テーマとしては……
・保証の現在と未来
・民法から始める倒産処理法制と企業再生
・意思表示理論の現代的意義
・法を”見つける”(at home合宿)
・不動産をめぐる諸問題
・不動産賃貸借をめぐる現代的課題
・交通事故と法
・動物と法ー人と動物との変容する関係を民事法の視点から
・担保法の最前線
・情報の価値
・資金決済の現在と未来
・プラットフォームと法
・無意識的行為への民事法学的アプローチ
・設計図から変わりゆく作品
ー変わりゆく社会、変わりゆく法ー
・エンターテインメントの価値変容と民事法I,II
・基礎への回帰
・生成AIの可能性と限界
・理論としての正当性と社会規範としての妥当性
・輸送と民事法
など。個別のテーマなど詳細は「History」をご参照ください。